価格の表示にもいろんなルールがあります。
土地の価格については、1区画あたりの価格を表示することになります。
なお、1区画あたりの土地面積を明らかにし、これを基礎として算出する場合に限り、1平方メートルあたりの価格で表示することができます。
表示例としては以下の通りです。
<表示例>
□土地価格/2,500万円
□土地面積/100㎡
□土地単価/1㎡あたり25万円
ただし、団地型物件においては、すべての価格表示をすることが難しい場合があります。
そこで、取引しようとする宅地または建物すべての価格を表示することが、広告スペースの関係などから困難な場合、
最低価格と最高価格、最多価格帯、およびそれぞれの戸(区画)数を併記して表示することができます。
ちなみに最多価格帯とは、物件の価格を100万円刻みで見たときに最も物件数が多い価格帯のことを言います。
また、取引しようとする物件数が10戸(区画)未満の場合は、最多価格帯の表示を省略できます。
<表示例>
□販売区画数/20区画
□価格/2,280万円〜2,680万円
□最多販売価格帯/2,400万円台
ま、ここまではそんなもんかって話だと思うんですけど、ちょっとややこしいのが二重価格の表示です。
二重価格表示とは、実際に販売する価格(実売価格)に対してそれよりも高い価格(比較対象価格)を併記する等の方法により、
消費者に“おトク感”を感じてもらうことを狙った広告表示のことです。
不動産以外の商品でも、「当店通常価格4,000円の品が今だけ2,980円!!」といった表示をチラシやネット、あるいは店頭で目にすることが多いと思います。
二重価格表示については景品表示法によって規制されていますが、取り扱う商品が不動産になると、その制限がより厳しく、より細かになります。
それはなぜかというと、不動産は基本的に代替品がなく(たとえ同じマンションの同じ間取りの部屋でも階数が違えば別の物件ですから)、
他の物件と比較すること自体が現実にそぐわないためです。
また、事業者が決めた販売価格も、実際に取引されてみないと、その価格が実売価格と言い切れない要素があります。
というわけで、不動産の二重価格表示ついては以下の3つの要件に適合し、
かつ、実際に、当該期間、当該価格で販売していたことを資料により
客観的に明らかにする必要があります。
①過去の販売価格の公表時期および値下げの時期を明示したものであること
②比較対象価格に用いる過去の販売価格は、値下げの3ヶ月以上前に公表された価格であって、かつ、
値下げ前3ヶ月以上にわたり実際に販売のために公表していた価格であること
③値下げの時期から6ヶ月以内に公表していた価格であること
ただし、二重価格表示と値引きは別物です。
値引きはあらゆる取引において行なわれることですし、自由経済においては当然のことと言えます。
ここで規制されているのは、販売価格(実売価格)を安く見せかけようとする不当な二重価格表示。
つまり、「善良な一般市民である消費者」が「海千山千の悪徳不動産屋」に騙されてはいけない、という考えに立っているんですね
(半分当事者である僕としては、なんだかちょっと悲しい)。