不動産の表示に関する公正競争規約では不当表示が禁止されています。
不当表示と一口に言ってもさまざまな種類があるのですが、
基本的には「一般消費者に誤認されるおそれのある表現はダメですよ」という考えに立っています。
ちなみに、誤認されるおそれがあるかどうかは、一般消費者が有する常識的な知識、経験、判断力を基準に公正な競争を維持するといった観点から
客観的に判断されるものであり、広告主の意図や過失の有無は問われません。
「これは不当表示になりますよ」という例文をいくつかご紹介します。
(1)「比べてください。Aマンションより1㎡単価で5万円、72㎡タイプで360万円も安い」と記載
→比較の方法が不公正な基準によるものです。マンションの価格を構成する立地その他の諸条件をまったく考慮せずに比較してはいけません。
(2)「イメージフォト」と説明を加えた上で、外国の著名な大都市の鳥瞰写真と当該物件のパースを合成した写真を掲載
→実際のものよりも著しく優良であると誤認される不当表示に該当します。たとえ「イメージフォト」と注記しても、消費者が表示から受ける印象と実際のものとは乖離があるので、不当表示であることは避けられません。
(3)「完成予想図につき、実際とは多少異なります」と注記した上で、販売価格に含まれていない門・塀・植栽等の付帯設備を描いた完成予想図を表示
→実際のものと違う認識を与えてしまうため、不当表示になります。たとえ注意書きをしたとしても、付帯設備が販売価格に含まれていて完成時には存在する認識を消費者が持ってしまう可能性は排除できません。
(4)6LDKの一戸建住宅について「二世帯住宅向き」と記載
→ただ部屋数が多いというだけでは二世帯住宅と言えない。二世帯住宅についての明確な定義はないが、世帯とは「一戸を構えて独立の生計を営むこと」を言います。その住宅が、たとえばキッチンや浴室が2つあるなど、二世帯が独立した暮らしができるような構造・規模・設備等を有しているものであることが必要だと考えられています。
(5)屋根がない駐車スペースを「車庫」と表示
→屋根がない駐車場所(空間)は「カースペース」と表示する必要があります。車庫とは自動車を格納するための建物を言い、独立したものと建物の一部を利用するものがあります。一方、屋根のない駐車場所(空間)であり、敷地延長の土地でその通路上に自動車を駐車する場合は、カースペースと呼びます。
いかがでしょうか?不動産の表示に関する公正競争規約がいかに消費者にやさしいか、ということがご理解いただけたのではないかと思います。